【早稲田⇒東大】仮面浪人体験記

一浪東大0.6点差落ちが、早稲田理工で仮面浪人し、ドイツ語を使って東大理一に受かったお話

Episode 3: 後期北大受験~マインドの揺らぎ~

3/10 12時すぎ

不合格が判明したほんの数分後、翌日北大に向かうための羽田空港行きのリムジンバスを予約した。確認メールの履歴を見ると、2016/3/10 12:05。今でもそのメールを見ると心が痛む。

 

結果から先に言うと、わざわざ北海道まで受験しに行ったにもかかわらず頂いた合格を蹴る形となるわけだが、この時点では仮面しようとは全く考えておらず、北大及び受験した学科に大きな魅力を感じていたので、考える時間もないことだしとりあえず受けに行ってから先のことを考えようというスタンスだった。

 

3/11

スーツケースを引っ張ってリムジンバスに乗車。ところが、やはり不合格から昨日の今日で異常な精神状態だったからか、ひどく車酔いをしてしまい、めちゃくちゃしんどかった。羽田空港で休んでいるうちに少し回復し、無事飛行機には搭乗できた。

新千歳空港着陸後、スマホの電源を入れると、親から開示の写真が送られてきていた。見ると、0.6点差落ち。しかし、昨日散々悲しんで、不合格という事実は受け入れていたからか、0.6点という数字にショックを受けるということはあまりなく、むしろ「自分はこんなに頑張れていたんだ」というポジティブな気持ちの方が大きいくらいだったと思う。二次国語で1問間違えた漢字を正解していれば、漢文が漢詩ではなければ、センターⅡBの計算ミスで失った6失点がなければ、後悔を始めたらキリがない。この時の、空港の大きな窓から眺めていた雪解けの始まる滑走路の風景は、今でも割と鮮明に覚えている。

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新千歳空港の風景(別日撮影)

快速エアポートで札幌に移動し、ホテルにチェックイン。その日はちょうど東日本大震災から5年という節目で、NHKをつけて追悼式典を見ていたことを覚えている。

その日の夜のLINEの会話履歴について。ここから先、共に二浪を闘っていくことになるK君(医学部志望)と話していたのだが、後期前日のこの時点ですでに「もう1回やりたい」「2年もやってきてこんな終わり方はあまりにも悔しい」とか話していて驚いた。(まだ仮面には言及していない)

 

3/12 後期試験当日

足元がアイスバーンになっていて滑りやすい中、普通のスニーカーで来たことを後悔しながら、なんとか会場へ。

科目は理科1科目(化学選択)・数学のみで、どちらも100%という出来ではなかったが、無難にまとまり、合格を確信してホテルに戻った。

その日の夜は、実は私は少し北海道にゆかりがある人間でして(だから北大を受けたわけですが)、知り合いの方々と食事したりなどした。東大不合格から2日しか経っていないのに、受験の世界とはあまりにも異質な空間にいる自分をふと認識すると、脳がバグりそうだった。

その日の夜にまたLINEで話していて、ここで初めて、M君から二外差し替え案を提案されていた。この提案がなかったら、もしかしたら仮面をしていなかったかもしれない。

 

3/13

知り合いと別れた後、空港へ。呑気にお土産を選んだりもしていたが、実はこの時点で、「やっぱりもう一度受けよう」というマインドに変化していたのが、空港の風景とともに強く記憶に残っている。

主に精神的な面で、あまりにも濃密な北海道遠征が終了した。