東大二次試験「外国語」のドイツ語差し替えについての特集記事です。
「東大 ドイツ語 差し替え」とでもググれば、先人の方々の有益な記事がたくさん出てくるのでそちらを参考にしてもらいながら、実際にドイツ語差し替えを利用した私自身の体験を踏まえた本投稿で情報を肉付けしてもらえれば幸いです。
ドイツ語差し替えの概要
募集要項からコピペすると、二次試験の「外国語」について
ただし,英語の選択者に限り,英語の問題の一部分に代えて,他の外国語(ドイツ語,フランス語,中国語,韓国朝鮮語)のうちから一つの外国語を試験場において選択することができます。なお,ここで選択できる外国語のうち,ドイツ語,フランス語,中国語の問題は,出願時に当該外国語を選択した者が解答する問題の一部分と同じものです。
とあります。つまり、出願の時点では「英語」を選択した状態で、試験当日に「外国語」の解答用紙の裏面(大問4・5)に『解答する科目』的な記入欄があるので、そこに他の外国語を記入することで、大問4・5のみを「ドイツ語,フランス語,中国語,韓国朝鮮語」で差し替えることが出来ます(「英語」の冊子の後ろの方に問題がついています)。解答用紙は、英語用の解答欄の下に差し替え用に罫線が入った枠が用意されており、そこに解答することになります。
ドイツ語差し替えのメリット
①大問4・5の点数が上がる
フランス語,中国語,韓国朝鮮語については断言できないですが、ドイツ語に関しては、コスパの悪い4Aや独特なエッセイ調の5など高得点を取るのが厄介な英語に比べ、かなり簡単です。難易度を客観的に比較するのは難しいですが、後述の通り、ドイツ語は差し替えの難易度は独検3級~2級の間にはあると思われます。
ドイツ語の差し替え部分は
大問4:独文和訳
大問5:独文法
となっています。大問5は割と基本的な文法問題が5問程度出題ということで点数を稼ぎやすく、大問4も独単語を覚える負担はそれなりに大きいものの、十分自学で対応できると思います。
②ドイツ語で浮いた時間を英語に割ける
差し替えの大問4・5は難易度が低いだけでなく、問題数も少ないので解答時間が英語に比べかなり少なく済みます。
そこで浮いた時間を英語大問1~3に充てられるので、今まで英語だけだと時間が足りなかった人にとって、得点UPが見込めます。
③仮面浪人との相性〇
こちらも言わずもがなですが、仮面浪人生にとっては、仮面先の大学での二外の勉強が、受験にも繋がります。
④東大入学後のアドバンテージ
入学後の教養学部前期課程では、「初修外国語(いわゆる二外)」が必修になります。その「初修」ついて、入学手続要項から抜粋すると、
第2次学力試験の外国語で、ドイツ語、フランス語、中国語のいずれかを出願時に選択し、受験した者はその外国語を「初修」外国語として選択できません。
とあります。つまり、出願時にドイツ語を選択し、大問1~5全てをドイツ語で解くと(いわゆる「全独」)、入学後にドイツ語を「初修」として選択できません。
一方、ドイツ語差し替えの場合、あくまで出願時は「英語」を選択しており、上記抜粋の制限には引っかからないので、「初修」としてドイツ語を選択できます。
一通り文法・単語を学んだ状態で講義をスタート出来るのは大きなアドバンテージで、たくさんの必修に追われる前期教養において二外の負担が大幅に軽減される上、好成績も取りやすいので進振りでも有利になります。
実際ドイツ語差し替えでどれくらい稼げたのか / 差し替えの難易度
英語オンリーだった現役、一浪の外国語の点数は
現役(2015):62 一浪(2016):59
だったのが、ドイツ語差し替えを利用した二浪は
二浪(2017):78
ということで、15~20点の上積みが出来たという結果になりました。
各大問について分析すると、開示点は外国語の総合点しかわからない&配点も不明ということで推測の域を出ませんが、自己採点と開示点から見積もると(2017年度入試)
大問4(独文和訳) 17/26
大問5(独文法) 16/20
くらいだったと思われます。
それがどのくらいの実力だったかの参考として、東大入学後に独検を受けたのですが、
6月 :独検3級 ほぼ入試時の実力で受験し、余裕で合格
12月:独検2級 それなりに対策をし、合格
(得点:65.97/100 最低点:51.39/100)
ということで、入試時のドイツ語の実力は、独検3級レベルは十分に身に付き、独検2級レベルにも手が届きそう、というくらいだったと思われます。
従ってそれくらいのドイツ語力で、東大外国語だと20点ほどの得点UPが見込める、という実力対応になりました。
使った参考書
文法
化学で言えば「新研究」的な立ち位置の、ドイツ語文法についてほぼほぼ網羅されている参考書。
愛用していた文法の問題集。自分的には、これを完璧にすれば大問5は8割以上は堅いと思います。
また、各章に応用問題として独文和訳問題が入っていて、大問4対策とも相性が良いです。
単語
最も愛用していた独単語帳。スタイルとしては英語でいうと「速読英単語」的な単語帳。
例文に加えて、品詞や時制変化等の各単語に関する補足知識が豊富で、有機的にドイツ語の基礎固めが出来ると思います。
英語で言うと「ターゲット」的な、ボリューミーだけど無機質な単語帳。
大問4(独文和訳)対策は、最終的にはとにかく独単語力が重要になってくると思います。特に、メインテーマとなる単語がわからないとまじで詰みます。
個人的な体感ですが、「新 独検対策4級・3級必須単語集」だけだと大問4対策には少し不十分な気がします。そこで、直前期の1・2月にこの「1800」を使って単語力を短期記憶気味に増強してました。ただし、僕は結局時間が足りずに、途中までしか消化できず本番を迎えてしまったので、「1800」をしっかりこなし切れれば、大問4も8~9割の得点が安定して狙えるんじゃないかと思います。
問題集
東大ドイツ語差し替え部分の過去問が20年分以上(2013~)掲載されている神本です。ただし、大昔の過去問は出題形式・難易度が割と違うのでそこまで参考にならず、また近年は差し替えドイツ語の問題が全独のものと共通になった影響?等々で難易度が上昇傾向にあるので注意が必要です。
『前期入試問題解答号』に、ドイツ語も問題・解答が掲載されています。
2022年3月現在、2015年~2022年度入試の計8年分が購入することが出来るので、「ドイツ語、もっと先へ!」と合わせれば、過去問をほぼ網羅することが可能です。
どのくらい勉強したか
・1学期
早稲田のドイツ語の講義のみ
・夏休み
「ドイツ語練習問題3000題」を1周+「新 独検対策4級・3級必須単語集」で単語暗記
・2学期~センター
他の勉強で忙しく、夏休みの続き+復習と、「1800」を少し進めるにとどまる
・センター後
ひたすら単語暗記(「新 独検対策4級・3級必須単語集」全部+「1800」途中まで)と過去問演習
このくらいの勉強量で、上記の通り「ドイツ語差し替え部分の得点率7割強」&「英語onlyから約20点UP」の結果になりました。