【早稲田⇒東大】仮面浪人体験記

一浪東大0.6点差落ちが、早稲田理工で仮面浪人し、ドイツ語を使って東大理一に受かったお話

「仮面浪人は新卒で就職できない?」説について

最近、Twitter(X)で「仮面浪人すると大学中退が付くので新卒枠での内定はもらえない」というポストが流れてきました。

 

仮面浪人を経験した上で、大学を卒業し新卒で就職活動をした私からの見解ですが、

結論から言うと、(私の知る範囲では)上記は完全に誤りです。

 

私が見てきた企業の新卒応募資格は、ほとんどが

「〇年〇月から〇年〇月までの間に大学(院)を卒業/修了(見込)」

といった記載がされています。

 

例えば採用人数が一番多いらしい「三菱電機」の募集要項から応募資格を引用すると

2024年10月もしくは2025年4月に入社可能な、国内・海外大学(院)を卒業済みまたは卒業見込みの方

就職難易度が一番高いらしい「マッキンゼー・アンド・カンパニー・ジャパン」には

2025年9月~2026年8月末に日本の四年制大学・大学院をご卒業予定の方

 

他にも思いついた大企業を適当に挙げると

伊藤忠商事

2025年7月までに四年制大学又は大学院を卒業又は卒業見込みであること

トヨタ自動車

2021年4月から2025年3月までに卒業(見込)・修了(見込)の方

日立製作所

高等専門学校または、大学学部・修士・博士課程を2024年3月末までに卒業(修了)見込みの方、 および既に卒業された方で新規卒業予定者と同等の枠組みでの採用を希望される方(職歴の有無は問いません)

 

ということで、上記の企業の新卒条件には、大学中退歴云々は一切関係がありません。私が就活時に見た企業もすべて同じでした。

 

扱いは通常の浪人と同等ですが、1つ違うのはESに大学中退歴を書く必要があるという点です(書かなくてもバレないとは思いますが、経歴詐称にあたりグレーゾーンだと思います)。

従って、面接の際に中退歴をツッコまれる可能性がありますが、準備しておいてちゃんと答えられれば特に問題ないと思います。

 

一つ注意があるとすれば、公務員を志望する場合です。

公務員の受験資格には年齢制限がある場合があり、仮面浪人に限らず浪人をすると上限に引っかかる可能性があります(ただし、二浪程度までならほとんどの自治体で問題ないはずです)。

 

以下は私(二浪、大学中退歴あり)の経験です。

・ES

ESには「早稲田大学~入学 ⇒ 早稲田大学~中途退学」ときっちり書きました。

結果的には、出したESは全て通りました

・面接

覚えている範囲だと数回「仮面浪人」について質問されました。聞かれうるなと思い準備していたので、特に問題ありませんでした。

 

結果、無事に納得できる企業から内定を頂けました。

仮面浪人どうこうより、年齢+2がディスアドバンテージになるかなと危惧していましたが、感触としては大きな悪影響はなかったように思います。推測でしかないですが、倍率が極めて高い人気企業になると難しくなるのかもしれません。

Episode After: 二浪&仮面浪人後の愉快な東大前期課程@駒場

大変お久しぶりです。

しばらく放置している間に、合計アクセスが10000を突破していました。こんな自分語りな内容で受験生の方々の役に立っているのかは疑問ですが、せっかく書いた文章を想像以上にたくさんの方に見ていただけているのは嬉しい限りです。ありがとうございます。

さて、書きかけだった記事がそのままになっていたので、7年前とそこそこ古い情報にはなってしまいますが、これを機に投稿します。

 

二浪&仮面浪人後の愉快な東大前期課程@駒場

① 二浪+仮面で東大に馴染めるのか

東大入学時から時系列で振り返っていきます。

 

3/26 教科書販売

初めて(?)駒場に行くイベント。

情報とスポ身の教科書はほぼ使わないと一年先に東大に受かったM君から聞いていたので(実際数回しか大学に持っていかなかった記憶)、買わずにお古をM君からいただいた。

あと早稲田で使っていた学食パスを東大でも使えるか聞いてみたところ、不可とのことでもう一度手続きしなおす必要がありました。

この日に改めて「2歳年下の」同級生を見たわけですが、やっぱり少し周りが若く見えてしまって、これからやっていけるのかな…と不安になったりした。

 

3/29 諸手続き

書類提出→上クラとの顔合わせ→テント列と盛り沢山の一大イベント、諸手続き。

まずは900番講堂で待機。圧倒的な男子率の高さに面食らう。(早稲田の学科では女子率が20%を超えていた)

1時間ほど待機した後、1号館に案内され書類提出。仮面特有の書類としては退学証明書の提出を求められますが、前述の通り早稲田で発行できるのは4/1以降だったので、その旨を話し、後日アドミニ棟の窓口に提出しました。

 

そしていよいよ上クラとの対面。

理一ドイツ語というとなにかと話題になるのが、女子の少なさ。この年は例年よりもさらに女子が少ない年で、ドイツ語8クラスで女子は9人でした。

その中で、ウチのクラスはなんと2人“も”女子がいました。8クラスで2,2,2,3,0,0,0,0と、女子が1人にならないように配慮してたっぽいです。

その場で簡単なプロフィールを書いて、新入生の名簿を作ってくれます。

ただ、自分は2浪&仮面をいつカミングアウトするか探っていたのですが、なんとその名簿に誕生日が、ご丁寧に誕生年から書かれていて絶望しました()。

 

その後は、前に書いたように英語のクラス分けテストを受け、逆評定を購入して帰宅。

 

3/30 健康診断・プレオリ

プレオリで初めて同クラと話す。早稲田と比べると、少しおっとりした印象を受けた。

 

3/31 学部オリエンテーション・サーオリ

サーオリを回っていると、高校の同級生数人と遭遇。

 

4/1-2 オリ合宿

いよいよ緊張のオリ合宿。

富士急に行ったのだが、その日はまさかの大雪。ほとんどのアトラクションが運休と散々だったが、まあある意味思い出には残った。

夜に宿にて自己紹介タイム。年齢がバレているのでどうするか迷ったが、特に仮面二浪には触れずに無難にやり過ごす。その後、トランプをしたり仲良くなった人から順に、素性をやんわりと伝えていった。一応慎重にはなったが、雰囲気としてはいきなりカミングアウトしても大丈夫そうな感じではあった。

 

そして授業が始まっていき、そこからは仮面二浪に負い目を感じることはほとんどなく、クラスでの五月祭出店やクラス旅行といった行事を含め、駒場生活を大いに満喫することができた。むしろ、ちょうど同時期に世間では「さんまの東大方程式」や「東大王」が流行っていたり、「東京大学多浪交流会」の活動が盛んであったり等したことで、「二浪」「仮面」のコンテンツ力が高まっていて、1つのキャラのようで話のネタにすることができる雰囲気だったと思う。

 

② ドイツ語

以前書いた通り、英語大問4・5を他外国語で差し替えた場合、初修外国語(第2外国語)としてその外国語をそのまま選択することが可能だったので、わざわざ変える理由もないということでドイツ語を初修外国語として選択しました。(出願時に英語以外を選択した場合(いわゆる「全独」等)は、「初修」として選択不可)

前期教養課程では第2外国語によってクラス分けされ、クラス全員で同じ語学の講義を受けます。

そんな中で、私は入試の外国語をドイツ語で差し替えて入学してきたにも関わらず「初修」のドイツ語を選択していたわけでして、それでいてコソコソと授業を楽にこなしながら良い成績もかっさらう(優3割規定)というのは、クラスメイトからすれば面白くないだろうなと思ったので、逆に振り切ってドイツ語をガチりにガチりました(いわゆる「ガリ勉」タイプでも全く浮かないのが東大の良いところ)。当然進振りで有利になるので自分のためにもなりますしね。

 

具体的には、

  • シケ対でドイツ語を希望し、無事就任
  • 初っ端のS1ターム末の中間試験用にシケプリ作成を必要以上に(?)頑張る
  • 6月にドイツ語検定3級合格、12月にドイツ語検定2級合格
  • Aセメスター末試験用に模擬試験を作成
  • Aセメのドイツ語一列でなにを思ったか、なんとしても「100優上」を取ると猛勉強し、達成

結果的に、クラスの中では「ドイツ語ガチ勢(?)」キャラがまあまあ浸透していたと思いますし、成績面でもドイツ語の講義で12単位分の「優上」を稼ぐことができ、進振りでも大いに役立ちました。

※詳細は省くが、必修以外の第2外国語の科目(総合科目L系列)は、進振りの際に一般的に用いる「基本平均点」にはほとんど効いてこないが、「工学部指定平均点」には重率1.0で加算できるため大いに効果がある。

 

進振り

皆さんご存じと思いますが、前期教養課程では、2年Sセメスターまでの成績に基づいて3年生以降の進学先を決定する、いわゆる「進振り」なる制度があります。仮面浪人をするか迷っている頃から、二浪&入試ではドイツ語差し替えでギリギリ合格の人間が、東大で人並みの成績を取ることができるのか、非常に不安でした。

安泰だったはずの早稲田理工から東大にわざわざやってきたにも関わらず、単位が足りず降年したり、早稲田理工時代と同内容の学科に進めないほど低い点数を取ってしまったら、それは実質的に仮面浪人失敗に等しいので、なんとしても早稲田理工時代と同内容の学科(平均+αくらい)は死守すべく前期教養課程に臨みました。

 

実際に2つの大学に通った人間の肌感覚として、早稲田理工と比べるとやはり東大の方が母集団のレベルは高かったです。早稲田ではどちらかと言うと学業面では「頼られる」側だったと思いますが、東大では特に理系科目でクラスメイトに対して「こいつらすげーなぁ...」と思う機会が多かったです。

しかも進振りの存在でみんな好成績を取ろうと勉強するので、今から振り返ってもやはりまあ試験期間は大変だったと思います。

 

また早稲田理工と東大で同一内容の講義(ドイツ語、線形代数微積、力学など)もありましたが、講師によるところも多いものの、やはり東大の方が範囲も広く難易度も高い傾向にありました。

例えばドイツ語の文法については、早稲田では1年で全文法のおおよそ2/3くらいを消化しましたが(接続法Ⅱ式等は範囲外)、東大では1年で全文法範囲を終えた上、+αで長文も扱ったりしていました。

また微積については、早稲田ではおそらく講師が優しかったのだと思いますが講義が非常に簡単で、高校数学に毛が生えた程度の難易度で、ε-δ論法といった内容も試験では出題されませんでした。結果、失礼ながら微積の授業はたまにしか行っていなかったのですが、期末試験前に少し勉強しただけで一番上の成績を取ることができました。

一方で東大の微積の講義は、これも講師によるところが大きかったと思いますが、非常に難易度が高かったです。εとδがたくさんの定理・証明がひたすら高速で板書されていき、アワワワワって感じでした。

 

そんなこんなでなんとか講義に食らいついていき、期末試験へ。

ただ、早稲田を含む他大学と違い、東大には「シケ対」というシステムがあったことがとても大きかった気がします。

早稲田理工では、まず試験の過去問を手に入れるところから既に情報戦で、知らないところで過去問用のLINEグループが作られていたり、嫌な言い方ですが「成績のための」人脈作りが必要でした。

一方、東大での私のクラスはありがたいことにシケ対が良く機能していたこともあり、講義の板書、過去問、過去問の解答、場合によっては参考文献が一式揃っていて、時間さえかけて勉強すればなんとかなる環境が整っていました。

 

試験期間はとにかく寝不足だった記憶が残っており、一度完徹で試験に臨んだりしましたが、成績としては、必修の代表的な科目を挙げると

  • 数理科学基礎:89優
  • 微分積分学:82優
  • 線形代数学:85優
  • 力学A:77良
  • 電磁気学A:79良
  • 熱力学:59可(危なかった。なんか周りに熱力学が不可ってる人が多かった気がするので気を付けてください。)

といった感じで、シケ対のおかげもあり、一単位も落とすことなく、平均以上の成績を取ることが出来ました。

 

それに上記で述べたドイツ語の成績を加えて、最終的な平均点としては、

  • 基本平均点:82.33 (全体の平均が75くらい?)
  • 工学部指定平均点:7.29

ということで、入試成績としては最底辺の人間でもそれなりにちゃんと勉強すれば、基本平均点90点以上が必要な医進といった最上位には遠く及ばないものの、平均以上の点数で、一部の人気学科を除けば大体の学科を自由に選べる成績を収めることが出来ました。

進学先については、進振り制度を活かして広い範囲で悩みに悩みました。一時は、理科一類ながら文学部も本気で視野に入れたりしましたが、結局は早稲田理工時とほぼ同内容の学科を第一志望とし、第一段階で無事に進学が決定しました。

【仮面浪人】東大英語 ドイツ語差し替えについて

東大二次試験「外国語」のドイツ語差し替えについての特集記事です。

「東大 ドイツ語 差し替え」とでもググれば、先人の方々の有益な記事がたくさん出てくるのでそちらを参考にしてもらいながら、実際にドイツ語差し替えを利用した私自身の体験を踏まえた本投稿で情報を肉付けしてもらえれば幸いです。

ドイツ語差し替えの概要

募集要項からコピペすると、二次試験の「外国語」について

 

ただし,英語の選択者に限り,英語の問題の一部分に代えて,他の外国語(ドイツ語,フランス語,中国語,韓国朝鮮語)のうちから一つの外国語を試験場において選択することができます。なお,ここで選択できる外国語のうち,ドイツ語,フランス語,中国語の問題は,出願時に当該外国語を選択した者が解答する問題の一部分と同じものです。

 

とあります。つまり、出願の時点では「英語」を選択した状態で、試験当日に「外国語」の解答用紙の裏面(大問4・5)に『解答する科目』的な記入欄があるので、そこに他の外国語を記入することで、大問4・5のみを「ドイツ語,フランス語,中国語,韓国朝鮮語」で差し替えることが出来ます(「英語」の冊子の後ろの方に問題がついています)。解答用紙は、英語用の解答欄の下に差し替え用に罫線が入った枠が用意されており、そこに解答することになります。

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ドイツ語差し替えのメリット

①大問4・5の点数が上がる

フランス語,中国語,韓国朝鮮語については断言できないですが、ドイツ語に関しては、コスパの悪い4Aや独特なエッセイ調の5など高得点を取るのが厄介な英語に比べ、かなり簡単です。難易度を客観的に比較するのは難しいですが、後述の通り、ドイツ語は差し替えの難易度は独検3級~2級の間にはあると思われます。

ドイツ語の差し替え部分は

大問4:独文和訳

大問5:独文法

となっています。大問5は割と基本的な文法問題が5問程度出題ということで点数を稼ぎやすく、大問4も独単語を覚える負担はそれなりに大きいものの、十分自学で対応できると思います。

 

②ドイツ語で浮いた時間を英語に割ける

差し替えの大問4・5は難易度が低いだけでなく、問題数も少ないので解答時間が英語に比べかなり少なく済みます。

そこで浮いた時間を英語大問1~3に充てられるので、今まで英語だけだと時間が足りなかった人にとって、得点UPが見込めます。

 

③仮面浪人との相性〇

こちらも言わずもがなですが、仮面浪人生にとっては、仮面先の大学での二外の勉強が、受験にも繋がります。

 

④東大入学後のアドバンテージ

入学後の教養学部前期課程では、「初修外国語(いわゆる二外)」が必修になります。その「初修」ついて、入学手続要項から抜粋すると、

 

第2次学力試験の外国語で、ドイツ語、フランス語、中国語のいずれかを出願時に選択し、受験した者はその外国語を「初修」外国語として選択できません。

 

とあります。つまり、出願時にドイツ語を選択し、大問1~5全てをドイツ語で解くと(いわゆる「全独」)、入学後にドイツ語を「初修」として選択できません。

一方、ドイツ語差し替えの場合、あくまで出願時は「英語」を選択しており、上記抜粋の制限には引っかからないので、「初修」としてドイツ語を選択できます。

一通り文法・単語を学んだ状態で講義をスタート出来るのは大きなアドバンテージで、たくさんの必修に追われる前期教養において二外の負担が大幅に軽減される上、好成績も取りやすいので進振りでも有利になります。

 

実際ドイツ語差し替えでどれくらい稼げたのか / 差し替えの難易度

英語オンリーだった現役、一浪の外国語の点数は

現役(2015):62 一浪(2016):59

だったのが、ドイツ語差し替えを利用した二浪は

二浪(2017):78

ということで、15~20点の上積みが出来たという結果になりました。

 

各大問について分析すると、開示点は外国語の総合点しかわからない&配点も不明ということで推測の域を出ませんが、自己採点と開示点から見積もると(2017年度入試)

大問4(独文和訳) 17/26

大問5(独文法)  16/20

くらいだったと思われます。

 

それがどのくらいの実力だったかの参考として、東大入学後に独検を受けたのですが、

6月 :独検3級 ほぼ入試時の実力で受験し、余裕で合格

12月:独検2級 それなりに対策をし、合格

(得点:65.97/100 最低点:51.39/100)

 

ということで、入試時のドイツ語の実力は、独検3級レベルは十分に身に付き、独検2級レベルにも手が届きそう、というくらいだったと思われます。

従ってそれくらいのドイツ語力で、東大外国語だと20点ほどの得点UPが見込める、という実力対応になりました。

 

 

使った参考書

文法

www.kinokuniya.co.jp

化学で言えば「新研究」的な立ち位置の、ドイツ語文法についてほぼほぼ網羅されている参考書。

 

www.kinokuniya.co.jp

愛用していた文法の問題集。自分的には、これを完璧にすれば大問5は8割以上は堅いと思います。

また、各章に応用問題として独文和訳問題が入っていて、大問4対策とも相性が良いです。

 

単語

www.kinokuniya.co.jp

最も愛用していた独単語帳。スタイルとしては英語でいうと「速読英単語」的な単語帳。

例文に加えて、品詞や時制変化等の各単語に関する補足知識が豊富で、有機的にドイツ語の基礎固めが出来ると思います。

 

www.kinokuniya.co.jp

英語で言うと「ターゲット」的な、ボリューミーだけど無機質な単語帳。

大問4(独文和訳)対策は、最終的にはとにかく独単語力が重要になってくると思います。特に、メインテーマとなる単語がわからないとまじで詰みます。

個人的な体感ですが、「新 独検対策4級・3級必須単語集」だけだと大問4対策には少し不十分な気がします。そこで、直前期の1・2月にこの「1800」を使って単語力を短期記憶気味に増強してました。ただし、僕は結局時間が足りずに、途中までしか消化できず本番を迎えてしまったので、「1800」をしっかりこなし切れれば、大問4も8~9割の得点が安定して狙えるんじゃないかと思います。

 

問題集

www.kinokuniya.co.jp

東大ドイツ語差し替え部分の過去問が20年分以上(2013~)掲載されている神本です。ただし、大昔の過去問は出題形式・難易度が割と違うのでそこまで参考にならず、また近年は差し替えドイツ語の問題が全独のものと共通になった影響?等々で難易度が上昇傾向にあるので注意が必要です。

 

utnp.stores.jp

『前期入試問題解答号』に、ドイツ語も問題・解答が掲載されています。

2022年3月現在、2015年~2022年度入試の計8年分が購入することが出来るので、「ドイツ語、もっと先へ!」と合わせれば、過去問をほぼ網羅することが可能です。

 

どのくらい勉強したか

・1学期

早稲田のドイツ語の講義のみ

・夏休み

「ドイツ語練習問題3000題」を1周+「新 独検対策4級・3級必須単語集」で単語暗記

・2学期~センター

他の勉強で忙しく、夏休みの続き+復習と、「1800」を少し進めるにとどまる

・センター後

ひたすら単語暗記(「新 独検対策4級・3級必須単語集」全部+「1800」途中まで)と過去問演習

 

このくらいの勉強量で、上記の通り「ドイツ語差し替え部分の得点率7割強」&「英語onlyから約20点UP」の結果になりました。

 

Episode 11: ありがとう早稲田、こんにちは東大。

お久しぶりです&2次試験前期日程お疲れさまでした。

こんなタイミングで浪人の話題は縁起が悪すぎる気がしますが、需要もあると思うのでぼちぼち書いていきます。

 

前Episodeで無事に東大に合格し、仮面浪人生活終了!めでたしめでたし~

と思いきや、ここから最後の一大イベントが待ち受けています。そうです、早稲田大学を退学しなければなりません。

「大学を退学する」という体験も割とレアだと思うので、赤裸々に語っていきたいと思います。

 

東大の入学手続きが済んだことを確認してから早稲田を退学したかったので、3/14に東大から書類が届いたことを確認し、3/16に退学手続きをしに行った。(前述の通り、急いで退学手続きをしても、退学証明証の発行は4月になるためどうせ諸手続きには間に合わず、東大も4月下旬まで待ってくれるため、急いで退学手続きをしても意味がない)

 

3/16 退学手続き

ホームページから退学願のフォームをダウンロードし、印刷して記入。

LINEで「なんか退学手続き行くの怖いんよねー」という話をしていたら、なぜか高校同期の2人が西早稲田キャンパスについてきてくれることになった。我ながら謎すぎた。

 

知り合いへの遭遇確率を減らすため、早めの午前10時に西早稲田駅に集合。

 

退学手続きをする前に、知り合いを避けるようにコソコソと、もう来ることはないであろうキャンパスを散策した。頻繁に利用していた講義室を目に焼き付けたり、友人に写真を撮ってもらったり。

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2017.3.16 西早稲田キャンパス

一通り散策を終え、ついに51号館の事務室へ。15分くらいであっさりと退学手続きを終え、大学ってこんな簡単に辞めれちゃうんだな、と不思議な感じだった。

 

3/18 早稲田の友人に仮面告白

正式に早稲田を退学したので、少ないながら仲良くしていただいた友人に早稲田を辞めること+東大に受かったことを伝えることにした。

ところが、どんな文面にしたらいいか全く定まらず、結局丸二日くらい悩み続けた。

思考が巡りに巡った結果、最終的には事実+隠してたことへの謝罪+感謝をシンプルに伝えた。加えてその日のうちに、会話が動きそうにもない深夜に、学科LINEも抜けた。

 

どんな反応が返ってくるのか不安で、当然不快に思われても仕方ないと思っていたが、ありがたいことに、怒られるどころかみな合格を祝福してくれた。数日すると、仮面を告白した友人以外からも「東大受かったってマジ?おめ!」といったLINEが何件か届いた。

感謝しても感謝しきれない。

 

後日談となるが、早稲田を退学してから数か月後くらいに、上記のうちの何人かと集まることになり、焼き肉を食べに行った。

 

3/29 諸手続き

東大初登校日。諸々の書類提出や、上クラとの顔合わせ。

 

英語一列 クラス分けテスト

前期教養の必修科目に「英語一列」という科目があるのだが、入試の英語の成績に基づいてG1~G3というクラスに振り分けられる。

しかし、二次試験の「外国語」の一部または全てを英語以外の言語で受験した場合、英語のスコアを持っていないので、クラス分け試験を受ける必要がある。

というわけで、諸手続きの日の夕方、KOMCEE Eastでクラス分けテストを受験した。

(なお、名物?のテント列は「英語のテストがあるので…」とそそくさとブッチした)

 

試験教室に入ると、日本人半分留学生半分といった感じで、至る所で英語の会話が飛び交っていてビビりまくった。

試験内容は読解+リスニングで60分。読解問題は、駿台全国模試とかでありそうな割とスタンダードな400~500語の長文問題×4題。一方リスニングは、入試の二次試験と同じような出題だった。

事前情報として、進振りのこと考えた場合、一番下のG3に入った方が好成績が取りやすいと聞いていたので、あまりやる気はなかった(まあ自分の英語力だと本気でやっても余裕でG3だったとは思いますが)。かといってあまりにもひどい成績だと流石にアレかなと思い、ぼちぼち真面目に解いた。

 

4/15 退学証明書受け取り

武道館での入学式も終えた4月中旬の土曜、退学証明証を貰いに、西早稲田キャンパスに最後のお別れに向かった。いよいよ本当にこれが最後だなと、性懲りもなくキャンパスの写真を何枚か撮りながら、キャンパスを一周した。

その後、連絡バスに乗って本キャンに向かい、生協の解約手続きも済ませた。

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2017.4.15 本キャン

そして、早稲田で発行した退学証明書を、東大の教務課へ提出。

これをもって、不合格が判明した前年の3月10日正午から始まった、一年超にわたる仮面浪人生活の幕が閉じられた。

Episode 10: 仮面浪人 合格発表 ~ドイツ語差し替えの成果~

合格発表までの長い長い2週間

これまで大学と受験の二足の草鞋だったのが、突然どちらもなくなり、あまりにも暇すぎて逆に精神的にかなり不安定になった。3/10までの約2週間、非常に長く、辛かった。仮面特有の事務手続きについても、合格発表までは特にやることはない。

 

3年間の受験勉強で最も向上したスキルとして、自己採点の精度がある。二次試験当日夜の時点でちゃっかりと1回目の自己採を済ませており、この時点で開示点と3点の誤差という精度だった。その後、来る日も来る日も、各予備校の解答速報のホームページを巡り、部分点の精度を極限まで上げ、採点をし続けた。ついには、夢の中で古文の採点をし始めた()。

東大OPを受けた以外全く関わりがなかったにもかかわらず、何故か河合塾さんから再現答案作成の依頼が来たので、自己採点のついでに再現答案を作った。作成途中に、一瞬自分の解答が間違ってると勘違いして急な腹痛に襲われ、やっぱ合ってると分かった途端に治るなど、謝礼数千円のために魂を削りまくった。

 

3/3 早稲田 成績発表

正直どうでもよかったが、GPA(max:4)は以下の通り。

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早稲田 成績

秋学期だけ:3.68 1年通算:3.43

と、他の人と比較していないので相対的にはよくわからないですが、おそらくめちゃくちゃ良かった。特に、センター試験と並行していたにもかかわらずの秋学期GPA:3.68は、学科ベスト3ぐらいに入ってる気がします。知らんけど。

とりあえず、仮面させて頂いた早稲田に出来る限りの誠意を示すことが出来たと思います。

 

3/9 合格発表前日

一足先にKくんの合格の報を聞いており、残すは自分だけという状況だった。この残り数日は本当にしんどかった。

実は、総合図書館の工事のためここ数年間本郷での掲示板発表がなかったのだが、この2017年から復活した。昨年自室で合格発表を見て不合格だったトラウマから、現地で番号を見たいなと思った。だが、もし不合格で、テレビにでも映って早稲田の同クラに見られでもしたらまずいので、もし受かっていたらKくんと一緒に掲示板を見に行こうという約束をした。

 

3/10 合格発表

昨年、自室の机に座って確認をしたら不合格だったので、今年は布団に正座をして発表を待った。LINEでKくんを始め高校の友人たちが構ってくれていて、自己満足で仮面してる自分にここまで気にかけてくれていることがほんとにありがたいなと思った。

この年は12時きっかりにサイトが更新され、心臓の鼓動を聞きながら番号一覧に飛ぶと、割とあっさりと自分の番号を見つけた。ただ、本当に番号があるのか不安になり、親や友人に何度も確認してもらった。ガッツポーズしたり、涙が溢れてきたり、ということはなかった。ホッとしたというのが一番大きかったかもしれない。

入学金を払う段階で、本当に早稲田辞めて大丈夫か?と最後の決断を迫られたが、流石に、ということで、銀行に向かった。

 

Kくんと15時半に約束し、本郷キャンパスへ向かう。本郷三丁目駅から地上に出たところでKくんと落ち合った。言葉を交わす前に、自然と固い握手をしていた。

合格発表から4時間が経ち、"お祭り"が終わって閑散としつつある本郷キャンパス掲示板上の自分の受験番号をこれでもかと目に焼き付けてから、安田講堂の前でKくんに写真を撮ってもらった。

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2017.3.10 16:04 安田講堂前にて

成績開示 

合格者の成績開示は、入学式も終わった4月中旬頃に送られてくる。開示は以下の画像の通り。

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二浪 成績開示

ついでだが、合格発表前に書いていた自己採点は以下の通り。

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自己採点(2017.3.9記入)

物理は寸分の狂いもなく完璧、各教科多少のブレはあるものの、合計点も的中と、自分でも引くほどの驚異的な採点精度を見せつけてしまった。まあ無駄な能力ではありますが、客観的に自分の能力と東大の問題を分析し、擦り合わせできていた証拠なのかなと思います。

 

概観としては、国・数・理についてはほぼ一浪時の学力を維持できたと言え、点数としてはスランプ等で実力を出し切れなかった一浪時よりもむしろ少しだが上げることが出来た。その上で、ドイツ語の嵩上げがあり、理一の最低点まで駆け上がることが出来た。

難易度・形式が大幅に変わったとは言え、自分が357点も取ることが出来た、理1最低点347点の年に合格できたというのは、現役の頃はろくに300点も取れなかったことを考えると、半ば不思議な気持ちというか、ほんとに自分頑張ったなーと思います(語彙力)。

 

ドイツ語差し替えの成果

英語単独だった現役:62、一浪:59から、ドイツ語差し替えの二浪は78と、ドイツ語で約15~20点の上乗せをすることができたという結果になりました。

最低点との差が約10点だったので、(ドイツ語に割いた膨大な勉強時間で他科目の点数が上がっていたかもしれないので単純には比較できませんが、)ドイツ語差し替えがなければ不合格だった可能性が高い、まさしくドイツ語のおかげで合格できた、と言えると思います。

ただ他の経験者の方のブログ等だと、90点以上を狙えるという風潮があり、それに比べると70点台というのは少し期待外れという見方もあるかもしれません。

Episode 9: 3度目の東大二次試験

2/3の期末試験最終日をもって、大学関係の日程がすべて終了し、”仮面を外して”一般受験生と同じルートに合流した。

 

この時点での状況をまとめると

  • 夏・秋ともに東大模試A判定
  • しかし、11月下旬ごろを最後に二次試験対策がほぼ出来ておらず
  • ドイツ語については、文法は概ね身についたものの、単語力が依然としてまだまだ

といったところ。

11月を最後に、二次試験3週間前まで二次試験対策をしていないというのは、普通に考えれば受験生的にあり得ない状況で危機感を覚えるが、まあ仮面浪人というのはそんなもの。

冷静に目標点数を設定してみると

センター 98 数 65 理 35/25 国 35 英独 80 ∑338

あたりが妥当。どの科目もそれなりに取れそうな点数で、最悪1科目大失敗しても受かりそうなラインということで、合格は手中にあると考えていた。

 

2/4 ~ 2/24 最後の追い込み期間

2月に入るまでまともに受験勉強を出来ていなかった焦り、そして色々なものを犠牲にしてきたこの1年間を無駄にしたくないという思いから、この3週間は、間違いなく人生で一番勉強したと胸を張って言えるくらい集中できた(といっても平均9h/dayくらいですが)。

 

勉強内容としては、ドイツ語を完成させることをメインに、数学・理科の過去テキスト復習+過去問をひたすらこなしていった。

 

詳しくは別投稿で特集するが、ドイツ語について。大問5(文法)についてはそこまで問題はなかったが、大問4(独文和訳)の点数がなかなか伸び悩んだ。結局大事になるのは単語力で、特にメインテーマとなる独単語がわからないと大問が吹っ飛ぶレベルで詰んでしまう。ということで、とにかく「新・独検合格 単語+熟語1800」で単語を補強する作業に徹した。

 

数学や理科に関しては、基本的には一浪までに使ってきた教材を信じて復習。過去問演習については、3年目となると流石に見たことがある問題ばっかりになってしまったので、数年前の駿台・河合の東大模試問題集をamazonで中古で買ったりした。数学ではちゃんと新課程に合わせてあったり(私の代で言うと行列→複素数に差し替え等)と、割と有用だった。

 

英語はリスニングを少しやるくらい、国語は手を付ける余裕がない、といった感じだった。

 

この時期の精神状態

必死に受験勉強している状況とは裏腹に、「本当に早稲田辞めて東大行って大丈夫か?実は早稲田2年>東大1年では?」の件について悩みまくっていた。というのも、住めば都なのか、秋学期の途中くらいから早稲田ライフを楽しみ始めている自分がいた。イベント等には全然参加しておらず早稲田の醍醐味を全く味わえていなかったかもしれないが、同クラの方々となんとなく仲良くなっていくなかで、居心地が良くなりつつあった。

他には

・どうせ同じ分野を専攻するなら、東大に行くのは1年損するだけかも

進振りに失敗すれば、今の早稲田の分野にすら行けなくなるかも

・早稲田にいればおそらく成績上位、東大に行くとおそらく成績底辺

・就活でも早稲田上位>東大下位かも

等々…

しかし結局は、ブログ冒頭で述べた仮面を希望した理由の方が強く、まあ受かったら東大に行くしかないかな、という結論に落ち着いた。頑張って早稲田2年生になる準備を整えたにもかかわらず、ここまで来てしまったら、もう東大に受かるしかないという状況になってしまった。客観的な状況を抜きにすると、自分の気持ち的に、来年早稲田に通える気がしなかった。

 

2/13

センター→大学試験→二次対策と休みなく続けて流石に疲れが溜まっていたのもあり、K君・M君と会い、なぜか高尾山に登り、合格を祈願した。

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当時撮った高尾山の写真



2/17

高3の頃の担任から、受験番号催促のメールが来た。調査書を取りに行った時の情報で知った様子。

 

2/22 二次試験3日前

焦り、そして夜型になっていた生活リズムを正す意味もあり、1日13時間くらい勉強した。タスクを全然消化できておらず、反省会ムードになっていた。

 

2/24 二次試験 前日 ~まさかのトラブル~

あまり緊張はしていなかった。というのも、流石に3週間の追い込みでは出題頻度が低い分野までは結局手が回らず、焦りしかなかった。まあ仮面なので仕方ないのだが。

そしてここで大きなトラブル?が発生する。

そんな切羽詰まった気分だったので、ギリギリまで詰め込みを行ってしまい、0時前には布団に入ったものの、恐ろしいことに目が冴えてしまって全く寝付けない

思考がグルグルと頭を駆け巡り、1時、2時と残酷に時間が過ぎていく。絶望、絶望&絶望。3時ごろになると、「こんなんで仮面までした努力が無駄になるんか」などといよいよ寝るのを諦めはじめ、「目を瞑っているだけで寝てる時の8割の効果がある」とどっかで聞いた話を信じて必死に目を閉じていた。

 

2/25 二次試験 1日目

1時間くらいウトウトしたかなといったところで起床。そこまで眠いということはないが、少し胃が気持ち悪い。ただ一つ幸運だったこととして、2017年の2/25, 26は土曜・日曜で、電車が空いていたので助かった。1浪時と同じルートで、長い並木道を歩いて二食前臨時ゲートから入場。

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龍岡門~二食前臨時ゲートの並木道

ということで試験のことを振り返ってきて行きたいのだが、実は試験中のことの記憶がほとんどない。どんな教室だったのかすら記憶がかなり曖昧になっている。現役時や1浪時、さらに私立や北大後期でも、試験室の風景、試験監督、散歩、トイレなど割と刻銘に画像記憶として覚えているのに、仮面のときだけほとんど覚えていない。単に寝不足だったからか、それともどこかゾーンに入って目の前の問題にのみ集中していたのかわからないが、それでもいつも通りに問題を解き進めていた。人間ってすごい(小並感)。

 

ご存じの方も多いかと思うが、この2017年は、問題形式・難易度の傾向が大きく変わった年である。

まず、数学は大幅易化。基本的に解くのが遅く、どんな難易度でも60~70点に収束しがちな自分には厳しいセットだった。確率(簡単め)に手を付けようとするも、ドツボにはまった昨年のトラウマから一旦飛ばした結果、他にも易問が多く戻ってくることができなかったのが痛恨だったが、なんとか3完で踏みとどまる。1日目の帰り道に軽くTwitterで検索すると、易化易化と盛り上がっており、自身の失敗を悟った。

 

 

2/26 二次試験 2日目

徹夜だったにもかかわらず、またしても昨晩に引き続きなかなか寝付けなかったが、なんとか5時間くらい睡眠に成功。

 

物理。苦手な波動、そして全く触れていなかった原子が出題されたら終わっていたが、第3問は得意としていた気体の状態変化の典型題。そこでほぼ満点を取ることができ、続いて他問でもしっかり点数を稼ぐことが出来た。物理の結果だけ先に言ってしまうと、43/60で、わかっている“気がする”だけだった現役のころ(19/60)から比べると、しっかり理数科目の素養・地力が付いたことが実感でき、もしかしたら受験生活で一番うれしい結果だったかもしれない。

そして問題の化学。「近年稀にみる簡単な問題(by河合塾」との通り、有機が大問1に移動&スーパー易化、理論も無機も易化、とやりたい放題の滅茶苦茶であった。元々化学で稼ぐ予定ではなく面食らってしまい、消化不良の出来となった。

理科終了時点の感想としては、ここまで全体的に点数がかなりインフレしており、ということはドイツ語のアドバンテージの価値が下がる…とかなり萎えていた。

 

大受験3年目、通算6回目の昼休みともなると、かなり過ごし方もこなれてくる。理系の本郷キャンパスの話になるが、受験生の数が多い建物(法文等)の男子トイレは激混みとなる。また、(2017年時点では)安田講堂前に臨時トイレが設置されるが、それすらも行列が出来る。なので私は、受験者数の少なそうな建物に目星をつけ、少し歩いて空いているトイレを使うという術を3年目にして身に付けた。(ところで私の性別を初めて明記しましたね

 

ラストの外国語。試験前に試験室でドイツ語の単語帳を開くのはなんとなく気まずかった。

ドイツ語差し替えの詳細については別投稿にて。この年はドイツ語、特に大問5の文法がやや難化しており、かなり時間を食ったせいで、1Bにしわ寄せが行き少し解ききれなかった。ただ、差し替えの裏の英語大問4が少し難化してくれたとのことで、最後の最後に運が味方してくれた。

 

かくして、東大受験という"亡霊"に憑りつかれ続けた3年間が幕を閉じた。

 

何故かわからないが、校舎を出たあたりからの記憶は割と鮮明に残っている。朝来た並木道を通り、龍岡門を出て、なんとなく本郷三丁目駅には入らずにそのまま春日通りを直進し、左にそれる急な坂(旧東富坂というらしい)を無心で下ると、東京ドームシティのジェットコースターが視界に入る。そのまま白山通りを神保町まで歩き続け、現役時にも寄ったラーメン屋に入った。

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旧東富坂から見えるジェットコースター

この時の精神状態としては、“無”という表現が一番近い気がする。ずっとつけ続けた重たい“仮面”を外して、本能的に少し外の空気に触れたかったのかもしれない。

Episode 8: 仮面浪人の山場~大学の期末試験とセンター試験の両立~

いよいよ仮面浪人生活の中でもメインイベントと言える、大学の秋学期末の試験・課題とセンター試験の両立生活についてです。

ここが一番知りたいという人も多いと思うので、時系列に沿って詳しめに書いていきたいと思います。

12月~年末年始

12/4 大学でTOEIC受験

2年生の英語の授業のクラス分けを兼ねたTOEIC。センター前の貴重な休日が潰れる上、サボっても大丈夫みたいな雰囲気だったが、一応ちゃんと受ける。

 

12/1〇 実験が無事全回終了

もし1回でも欠席してたらセンター数日前に補充実験だったので、一安心。

 

12/18 駿台 センタープレテスト 

ここで今年度初のセンター模試。古典・地理は多少復習していたが、それ以外はほぼ手つかずのまま受験。

結果は765/900

崩れる可能性が低いと思っていた物理と英語でケアレスミスを連発してややショックを受ける。ただ、それがなければ大体800くらいと、全体的にはブランクを考慮しても悪くない結果だった。

英数理の合計が9割を割ったら東進の模試も受けようと考えていて、結果は543/600。一応及第点ではあったが、やっぱり試験慣れが必要かなと思い、翌日東進に申し込みに行った。

 

12/21 大学年内最終授業

授業に行っていなかった微積を除き、体調不良で数日欠席した以外はほぼ100%の出席率で、無事に年内の講義を終えた。

12/23 東進 センター試験本番レベル模試

749/900と撃沈。

ⅠA:80 ⅡB:82 と、理系を辞めたくなるレベルの大崩壊。

ただ、東進模試は難易度がバラつくことが多く、そしてさすがに疲れが溜まっているのを感じていたため、仕方ないかなとあっさり割り切れた。

 

12/24 ~ 1/5 年末年始休暇 センター詰め込み期間

昨年に続き、センター国語の演習を繰り返す。

これまでの積み重ねの成果か、評論・漢文は40を割らないようになり、かなり安定してきた。しかし、必ず時間が足りなくなるので、後は如何に上手く小説・古文で点をかっさらえるかの勝負になる。

それ以外の科目は、3年間の積み上げのおかげか、割と安定していた。

この時期も2浪仲間のKくんとのLINEは続き、地理や化学の問題を出し合ったりしていた。本当に助かる。

センター直前期

1/6 大学 新年初授業

1つ思い出深いエピソードがあって、講義室で授業前に

同クラA「(塾講バイトでセンター対策の教科書読んでるBに)センター英語?お前仮面すんの?」

同クラB「ちげーよ塾講の予習だよ!」

周り「ハハハハハ」

僕「ハハハハハ(・・・)」

なんて会話があったり。

 

1/9 高校の成人式

二浪すると、成人式がセンター直前期になる問題が発生する。

インフルが怖いのもあり、当然のようにブッチしてしまった。

 

ここからセンターまで1週間を切り、いよいよスケジュール的に忙しさのピークを迎える。

 

1/10 徹夜

翌日の英語スピーキングの授業でプレゼンがあり、徹夜を余儀なくされる。前述の通り、担当教員が理不尽でしかなく、そもそも何を発表すればいいのかわからん状態で、前日に仕上げざるを得なくなった。許せない()。

 

1/11 徹夜明けでガッツリ授業

しかも、こればっかりはしょうがないのだが、インフルに罹り熱が下がって1日の人が来ていた。当然「3日後センターなんやけど…」と言うこともできず、出来る限り気にしない素振りを心掛け、その人から離れマスクをして過ごした。帰り道の電車で、念のためセンター追試について検索した。

 

1/12 大学休み

桃パックを解く予定だったが、徹夜の影響でさすがに疲れており、地理・国語・英語だけ解くに留まる。

 

1/13 センター前日+大学でドイツ語期末試験

なんと、センター試験前日に大学でドイツ語の期末テスト。大学に向かう電車で、初めてドイツ語のテキストを開く。ただ、今までのドイツ語の積み上げがあり、試験はあっさりと高得点を取ることができた。

センター前日ということで、講義室で同クラと「もうセンターから1年経つのか懐かしいね~」トークをする。さらに、「センター1日目の夜に自己採点した?」というトークが始まり、「俺は(明日)自己採点するタイプかな~」などと語った。ごめんなさい。

センター前日というスクランブル状態とは対照的に、至って“いつも通り”の大学の講義を終え帰宅。鞄から大学用のセットを取り出し、代わりに受験票を大事にしまった。また、シャーペンやボールペンばかりが入った筆箱の中身を、HBの鉛筆・消しゴムに入れ替えた。

直前期にもかかわらずバタバタしていたからか、ものすごく緊張するということはなく、勉強不足による焦りの方が大きかった。

センター試験 本番

1/14 1日目

人生3度目のセンター試験。どちらも個人で出願した一浪と二浪だが、会場は変わっており、今年の方が家から近くて楽だった。

地理は無難に終了。

そして国語。今年は昨年の古文の反省を生かし、漢文→評論→残り時間で古文・小説を半分ずつという作戦に変更。評論が難しく時間がかかり、小説が小問2つ解けずに終了。可もなく不可もなくといった直後の感想だった。

英語も無難に終え、リスニングは東大しか受けない自分には関係ないので上の空で受けて、1日目終了。

 

1日目の夜に事故採点するか否かは「きのこ・たけのこ戦争」並に賛否が分かれる問題だろうが、自分は「失敗を知った絶望」よりも「失敗したかもしれないという不安」の方がきついと思っているので、必ず事故祭をする。ちなみに2017年時点では、解答が最速で出るのは東進で、21時前後です。

 

結果は

地理 82 国語 151 (28, 23, 50, 50) 英語182

 

結局3年連続で現代文爆死という、もはや日本人として有るまじき結果となったが、古文・漢文がどちらも満点という半ば奇跡が起こった。3年間しがみついて過去問を解き続けたご褒美だったのかもしれない。

英語に関しては、文法でボロボロ失点した。仮面でまともに文法を勉強しなかったのでまあしょうがないと諦めた。

 

1/15 2日目

1日目で85失点だったので、なんとしても2日目を15失点以内に抑えて800にはのせようと、勢いを持ってスタート。

ⅠAは無難に終了。

ところがⅡB、詰まって5分ロス×2をしでかしたりと大失敗。LINEで「うわあああああああああああああ」とか謎の奇声を発する。

理科は3年間の知識の積み上げによって安定しており、本番も無難に終了。

 

結果は

ⅠA 100 ⅡB 93 物理 100 化学 96

で、トータル: 804/900 と、3回目にしてギリギリ800を超え、なんとか東大受験生としての面目?を保った。

爆死したと思っていたⅡBだが、最後勘で埋めたところが合っていたり、間違っていた箇所が切り離されていて1失点のみで済んだりと、点数上爆死を回避していた。古典満点もあったように、絶望的に運のなかった1浪目とは違い、仮面では所々ツキがあった。

 

なんとか無事にセンターを終えたが、仮面生はホッと一息する間もなく、すぐに「大学生」にジョブチェンジする必要がある。翌日までのレポートを書いてから就寝。

 

センター直後

1/16 センター翌日

前日に人生が懸かった試験を受けていたパラレルワールドのことなんてお構いなしに、当然ながら大学は普通に授業。正直体力的にも精神的にもかなり厳しいものがあったが、ここで休んだりすると仮面を疑われると思い、意地で登校。

授業終了後、Kくん含め高校の友人とセンター反省会@サイゼリア

 

1/17 

家に強盗が入ってきて、〇されそうになり家から逃げようとする、という恐ろしい夢を見る。メンタル限界。

 

1/18 

昼にバンザイと選太君が稼働。大学で見るのはさすがに怖かったので、帰りの電車で確認。足切りは大丈夫そうだが、3年目になっても目一杯のバンザイは見ることが出来なかった。

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当時のバンザイのスクショ



夜、勉強部屋の整理。3年間使ったセンター対策本たちに、「今までありがとう。でも、もう二度と会いたくないよ。」と語りかけつつ、押し入れにしまった。そして、本棚を二次対策仕様に切り替えた。

 

1/21, 22 

センター試験後初の休日。だが、大学の課題等に追われ、とても受験勉強を出来る状態ではなかった。

 

1/23  

K君と一緒に高校に調査書を貰いに行く

 

 

1/24 ~ 2/3 大学試験期間

出来れば大学試験対策と受験勉強を並行するのが理想だったが、結局大学だけで精一杯になり、受験勉強は完全にストップしてしまった。数か月後には無価値になるかもしれない、むしろ積極的に無価値にしようとしている単位のために一生懸命頑張るのは、冷静に考えると合理的ではないが、半ば意固地になって真面目に試験勉強をした。そうすることで、仮面をさせて頂いている早稲田へ最大限の誠意を払いたかったのかもしれない。

 

1/30 東大出願

ずっと理1しかないと思っていたが、出願直前になって理2と迷い始める。理1の最低点>自分の点数>理2の最低点 になったらどれくらい後悔するかな、と思いつつ、やっぱり進振り的に、理1 >早稲田2年>理2 だと思い直し、決意して理1に出願。

 

2/1 

二次試験3週間前にサークルへ。なんで忙しいときに行こうとしたのかよく覚えてない。

 

2/3 期末試験最終日

もしかしたらまともに西早稲田キャンパスに来るのはこれが最後になるかもしれないと、駅に繋がるエスカレータの前で、振り返ってキャンパスを見渡し感慨に浸りながら、周囲にばれないように別れの挨拶をした。